札幌高等裁判所 昭和28年(う)63号 判決
刑法第二五三条に所謂業務とは職業若くは職務を指称するものであつて、その職場たるには法令若くは慣習によると、はたまた契約によるとを問わないところ、原判決が証拠として挙示せる佐々木敏雄の検察官に対する第一回供述調書によれば、被告人は、昭和二十六年六月以来株式会社グランド太陽のボーイとして勤務し、本来の仕事に従事するの外、被告人が集金につき責任をもつた顧客に対する飲食物の掛売代金は、会社から請求書及び領収書を預り会社のために集金するを例としていたことが明らかであるから、右集金は被告人の業務範囲に属するものといわねばならぬ。しかして被告人が右集金業務に従事するうち、自己の集金にかゝる飲食物の掛売代金を擅に着服横領するに至つたものなること原判決認定のとおりであるから、被告人の所為は業務横領罪を構成すること勿論にして、原判決には各所論のごとき事実の誤認はない。論旨は理由がない。